志賀山流独自の型や小道具など【2】

長唄 賤機帯

能の「隅田川」を元にしたこの「賤機帯」は、愛児・梅若を人買いにさらわれた狂女(斑女)が子を求めて隅田川のほとりをさまよい歩くのを、近くにいた舟長がからかい、やがて哀れみを覚えて慰める、という内容です。
曲中、鞨鼓(雅楽で使われる小型の打楽器)を使用しますが、各流派では斑女がつけて舞いますが、志賀山流においては舟長がつけての舞になります。
これは、狂女をからかっていた舟長が、やがてその姿に哀切を感じ、自ら鞨鼓をつけて狂女を慰める、という型になります。
口伝では、後年次第に華やかになるにつれて、主役である狂女に鞨鼓をつけるようになった、と解釈されています。

文責 宗家代理 志賀山 律

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